離婚調停が不成立で終わってしまった方
目次
調停を成立させるには
調停を成立させるには、当事者の話し合いがまとまり、かつ、合意に達する事が必要不可欠です。
離婚調停が不成立となってしまった方は、おそらく「相手方が離婚に合意しない」、「相手方に調停へ出てくる気がない(一度も調停に出てきていない)」、「両者共に離婚の合意はあるが、親権・財産分与で話合いがまとまらない」などの理由から“合意に達する見込みがない”ことにより、不成立となったのではないでしょうか。
また、当事者が離婚調停の話し合いの継続を望んでいるにもかかわらず,調停委員会の判断で調停が打ち切りとなり、不成立となる場合もあります。つまり、調停委員会が合意成立の見込みがないと判断した場合には、バッサリと切られてしまうのです。
一見不合理に思えるかもしれませんが、その背景には、裁判所(調停委員も含めて)は有限な資源であるため、合意成立の見込みのある事件を優先し、資源を有効活用するとの考えがあると思われます。
したがって、ダラダラと調停を継続し、なかなか進展の見られない案件については、調停委員会が嫌い、不成立を勧告してくる場合があります。当事者としては不完全燃焼かもしれませんが、特に最近はその傾向は強まっているように感じます。
以上、不成立となる原因や経過は様々ですが、離婚調停が不成立となってしまった方は、今一度、どんな原因で不成立となったのか、振り返って見ましょう。
では、調停が不成立となってしまった場合、その後はどのような選択肢があるのか…?
基本的に選択肢は以下の3つです。
①当事者間での再協議
②審判離婚
③離婚裁判
①当事者間での再協議
費やす時間、労力、コスト面から見ても一番理想的な方法です。
しかし、調停という話合いの場で解決ができなかったので、当事者同士で再度協議をする、というのは絶望的とも言えます。
ただし、「調停の時は当事者同士で出廷していたケースで、新たに双方とも間に弁護士を入れて弁護士同士での協議を行う」場合は、専門的な知識や冷静な意見を聞く事ができるので、もしかしたら協議での合意が可能になるかもしれません。
調停不成立後に、お互いが歩みよって協議をすることが可能な状況であれば、何も問題はありませんが、不成立となった後で、再度協議を行い離婚が無事成立した、というケースはとても稀です。
離婚に至る経緯や、調停が不成立となった理由は、夫婦それぞれ全く異なります。
なので必ずしも、調停が不成立となった後は、再度協議を行っても無意味だ!とは言えません。
状況によっては、もう一度両者で協議を行うことも一つの選択肢として検討しても良いでしょう。
また、オーバーローンとなった住宅ローンの分担や、その他の負債の分担が、当事者間での主な争点となっている場合には、判決によっては根本的な解決が難しい場合があります。
その場合には、譲歩してでも、できる限り話し合いによる解決を目指すべきではないかと思います。
ただ、調停が不成立となった後の再協議の場合、合意ができたとしても、調停調書と同様の効力をもつものは何も作られない、ということを念頭に置いておく必要があります。
特に財産分与や、離婚成立後も支払が続く養育費については、強制執行できる状態にあるかどうか、というのはとても重要になってきます。
相手方からの支払に不安があり期待ができない場合、ただの合意書ではなく、『強制執行認諾文言付き公正証書』を作成し、支払が滞ればいつでも強制執行できますよ。という状態にしておくことで、将来的にも安心できます。
(※ 公正証書作成には相手方との同意が必要です。当サイト「弁護士費用」コンテンツに、離婚公正証書作成についての説明もあります。)
協議離婚について、詳しくはこちら
②審判離婚
審判離婚はとても稀なケースですが、家庭裁判所が職権により離婚を認める審判を下し離婚が成立する場合があります。
ただし、極めて希なので、ここでは説明を省きます。
審判離婚について、詳しくはこちら
③離婚裁判
調停が不成立で終了した後、それでも離婚したい場合は、管轄の家庭裁判所へ離婚訴訟を提起する必要があります。
離婚訴訟では、調停のような話合いではなく「法律上の離婚原因が存在すること」を積極的に主張・立証していく必要があります。
ですので、訴訟を優位に進めいていくためにも、離婚原因がどれだけあるのかを、証拠を提出して主張していくことで裁判官に離婚を納得させる必要があります。
法律上では以下の5つが離婚原因として認められています。
・配偶者の不貞行為
・配偶者から悪意で遺棄された
(生活費を渡さない、理由無く同居を拒否し出て行く・または追い出す、健康なのに働かない、など)
・配偶者の生死が3年以上不明
・配偶者が強度な精神病で回復見込みがない
・その他の婚姻生活を継続できない重大な事由がある
(暴力、モラハラなど)
離婚裁判で、離婚を成立させ勝訴するには、この5つの離婚原因のどれかが「明確に存在しているか」、そして「確実に立証する方法があるか」の、2つのポイントが重要になってきます。
「①当事者間での再協議」、「②審判離婚」と比べると、調停が不成立になった後の行動としては、「③離婚裁判」が一番解決の可能性が高い方法と言えます。
離婚調停が不成立となった後の行動として3つの方法を紹介しましたが、当事者同士の状況や、調停が不成立となった原因によっても、どの行動が最も良いのかそれぞれ変わってきます。
現在のご自身の状況をしっかりと見極め、何が一番いいのか今一度、現状を整理してみましょう。
裁判離婚について、詳しくはこちら
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執筆者情報
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最も大事なこと、それは、お客様と信頼関係を構築すること。
弁護士にしか話せないこと、言えないこともあります。時間をかけても信頼関係を構築することが何より大切だと思っています。話しにくいこと、言いたくないことも出来るだけ話してもらえるよう、私はまずお客様の話す内容を時間をかけて細部までよく聴き、真意をつかみ取るように意識しています。お客様の話す内容については、単にご要望を伺うだけではなく、何故そのような心情に至ったのかを背景事情も踏まえて私なりに分析し、お客様の真意に見合った解決案を提示することを心がけています。
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