DV被害の対策と各種相談機関

(1)各種相談機関への相談

DVに関する各種相談機関に相談して下さい。それぞれで、取扱う内容が異なる部分もあるので、それぞれの専門機関に相談することが大切です。

 

また、DVに関する保護を受けるためには、各種相談機関への相談が前提条件となっていたりします。早めの相談をお勧めします。

 

(2)住民票等の閲覧・交付制限

DVやストーカーの被害者は、住民票のある市区町村や戸籍の附票のある市区町村に、「住民基本台帳事務における支援措置申出書」を提出することにより、DV等支援措置を求める申出をすることができます。

 

市区町村が支援措置の必要性を確認できた場合には、加害者からの被害者に係る住民基本台帳の閲覧や、住民票、戸籍の附票の写しの交付請求が制限されるなどの措置がとられます。期間は1年ですが、延長も可能です。

 

(3)保護命令

DVの程度が酷く、今後もDVのおそれが大きいときは保護命令制度の利用が考えられます。保護命令とは、配偶者からの身体的暴力や生命等に対する脅迫を受けた被害者が、更なる身体に対する暴力により、生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、裁判所が被害者からの申立てにより、配偶者に対して発する命令のことをいいます。

 

なお、配偶者のみならず、生活の本拠を共にする交際相手から暴力等の場合も、保護命令の申立が可能です。

 

命令の内容として、

(1)被害者への接近禁止命令

(2)被害者への電話等禁止命令

(3)被害者の同居の子への接近禁止命令

(4)被害者の親族等への接近禁止命令

(5)被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去命令

の5つの類型があります。

 

DV防止法に基づいた裁判所を通じた命令であり、違反した場合には直ちに警察も動きますので(保護命令が発令されますと、裁判所から県警本部宛にその旨の連絡がされます)、保護命令には一定の効果があります。

実際、当事務所でも過去に何度か保護命令の申立を行っていますが、保護命令の発動期間中は、暴行行為等はありませんでした。

 

保護命令については,地方裁判所への申立が必要で、保護命令の要件の検討が必要なため、経験のある弁護士に詳細はご相談下さい。

 

(4)健康保険

DV被害者が,以下の証明書などを取得して年金事務所で所定の手続をすれば、加害配偶者の協力なしに被扶養者から外れることは可能です。また被害者に同伴する子どもについても、同様に被扶養者から外すことも可能です。

 

婦人相談所が発行する配偶者からの暴力の被害を受けている旨の証明書」や、「裁判所が発行する保護命令に係る書類」、「配偶者暴力相談支援センター等の公的機関が発行する配偶者からの暴力の被害を受けている旨の証書」を取得して所定の手続をとって下さい。

 

(5)住居

一時保護施設などの一時保護の住居は、緊急時の利用で短期間(2週間から1か月程度)しか使えません。
そこで、その後は自分で住居を探すことになります。以下の施設も利用にあたって検討すると良いでしょう。

 

① 母子生活支援施設

福祉事務所が窓口となります。

 

② 婦人保護施設

 

③ 公営住宅

DV被害者に対しては、優先入居の取扱があります。ただし、要件がありますので、事前に該当するのかチェックしておく必要があります。

 

④ 学校

一時保護施設に子ども連れて入った場合、入所期間は通学ができませんので、注意が必要です。
なお、DV被害者と一緒に避難している子どもについては、住民票を移動しなくても、実際に済んでいる市町村の学校に通学することができます。

 

 

各種相談機関

(1)警察 (安全確保・緊急性の高い場合)

身体の安全確保については、最寄りの警察署に相談して下さい。

暴行・傷害・脅迫・強要での被害届の提出も考えられますが、そこまで至らない場合でも加害者に対し警察から指導・警告の措置をとってもらう方法があります。110番緊急通報登録システムへの登録もしておくとよいでしょう。登録により警察が臨場する時間が短縮されます。

 

また、DV被害者が避難する際に、事前に警察にDVの相談をしておけば、仮に加害者が捜索願を出そうとしても警察は受理しません。

(2)配偶者暴力相談支援センター(DVに関する全般的な相談)

配偶者暴力相談支援センターでは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、①相談や相談機関の紹介②カウンセリング③被害者及び同伴者の緊急時における安全の確保及び一時保護④自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助⑤被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助⑥保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助 を行っています。

 

なお,内閣府の調べでは、平成27年度の配偶者暴力相談支援センターへの相談件数は11万1630件であり、そのうち女性の相談が98%以上を占めています。 相談件数については、データを見ると毎年右肩上がりで増えていますので、今後も増えていくこと予想されます。暴力で悩んでいる方は積極的に利用することをお勧めします。

 

(3)婦人相談所

売春防止法第に基づき、各都道府県に必ず1つ設置されていますが、配偶者暴力相談支援センターの機能を担う施設としても位置付けられています。DVからの一時保護については、婦人相談所が自ら行うか、婦人相談所から一定の基準を満たす者に委託して行います。

 

(4)福祉事務所(今後の生活・社会福祉面)

生活保護や児童扶養手当の受給決定など、社会福祉全般の窓口となります。経済面で不安がある場合には、相談して予め今後の生活設計を立てると良いでしょう。母子生活支援施設などへの入所も福祉事務所が窓口です。

DVの保護命令

保護命令とは、裁判所からDV加害者に対して出すもので、被害者への接近禁止命令、被害者への電話等禁止命令、被害者の子への接近禁止命令、被害者の親族等への接近禁止命令、自宅からの退去命令があります。

 

保護命令の申立てあたっては、配偶者暴力相談支援センターや警察に相談や保護を求めた事実が必要になります。その上で、裁判所に対して、書類で申し立てを行うことになります。

 

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着手金…10万円 / 報酬金…20万円

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執筆者情報

鈴木洋平法律事務所
鈴木洋平法律事務所鈴木洋平
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弁護士にしか話せないこと、言えないこともあります。時間をかけても信頼関係を構築することが何より大切だと思っています。話しにくいこと、言いたくないことも出来るだけ話してもらえるよう、私はまずお客様の話す内容を時間をかけて細部までよく聴き、真意をつかみ取るように意識しています。お客様の話す内容については、単にご要望を伺うだけではなく、何故そのような心情に至ったのかを背景事情も踏まえて私なりに分析し、お客様の真意に見合った解決案を提示することを心がけています。
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