養育費

養育費とは

養育費とは、子供が社会人として自立するまでに必要となる費用です。衣食住の経費や教育費、医療費、娯楽費など、自立するまでに必要となるすべての費用が養育費にあたります。

 

期間の目安としては、成人する20歳や高校卒業までの18歳、大学卒業までの22歳となりますが、当事者間で自由に決めることができます。

養育費って実際どれくらい支払われているの?

離婚となれば、「養育費」という言葉は誰でも思いつきます。しかし、実際どれくらい支払われているのでしょうか?実は、これだけ養育費という言葉はメジャーであるにもかかわらず、全く支払いをされていないケースが母子世帯で約60%もあるとのデータがあります(平成23年度母子世帯等調査)。

これだけでも驚く数字ですが、養育費の支払いを一時期は受けていたが、今はもらっていないとう方の数を含めると更にその割合が上昇します。

 

そもそも離婚に際し、養育費を取り決めしなかったという方が約60%で、取り決めをした方でも文書がない方(つまり口頭での約束のみ)が、約28%もいます(平成23年度母子世帯調査)。これは、平成23年のやや古いデータではありますが、養育費の現状はこの程度です。

 

また、取り決めをしない原因としては、「相手に支払い意思や能力がないと思った」(48,6%)が第1位で、続いて「相手とかかわりたくない」(23.1%)、「交渉がまとまらなかった」(8%)、「交渉がわずらわしい」(4.6%)となっています。「自分の収入で経済的に問題ない」と考えている人はわずか2.1%しかいません。

 

確かに、相手に支配意思・能力がない場合にはあきらめてしまいがちです。

しかし、養育費はあくまで子どものための費用です。この先長い子どもの養育や健全な成長を考えていくと、最低限のお金でも確保すべきではないかと思います。相手と関わりたくない気持ちも分かりますが、一時の気持ちに左右されず、将来のためにも養育費だけはしっかりと決めるという強い気持ちが必要です。

 

また、弁護士が関与した場合には、通常養育費の取り決めは行いますし、私の実感レベルでは、その後も決まった額が支払われるケースが通常より多いと思います。相手とかかわりたくない、交渉が面倒、と思ったら弁護士に相談することをお勧めします。

 

養育費の額・決め方

養育費の算定養育費の額は、負担する側の経済力や生活水準によって変わってきます。基本的には、双方の収入のバランスに応じて養育費を算定していきます。

財産分与や慰謝料は一括で支払うのが原則ですが、養育費は通常定期的に負担していきます。目安として、裁判所が「算定表」を示しています。

 

「算定表」の使い方ですが、子どもと同居している親を権利者、子どもと同居していない親を義務者とし、子の人数、年齢に応じた算定表の中で、権利者と義務者の双方の年収が交わるところから養育費の額を算出します。

 

上記の「算定表」は実務上広く定着しています。したがって、現時点では、養育費の裁判でも概ね「算定表」から算出される金額がベースとなると考えられます。

 

「新算定表」について

前述の現行の「算定表」は、平成15年に裁判官と調査官からなる東京・大阪養育費等研究会が提言したものでした。しかし、その後約14年が経過した今日(平成29年3月時点)においても、何らの改訂もされておらず、従来から数々の理論的問題も指摘されておりました。現行の算定方式は不合理で養育費や婚姻費用が非常に低くなってしまうとの問題意識があったのです

 

そこで、新たに日本弁護士連合会が、平成28年11月に養育費・婚姻費用の新たな簡易な算定方式・算定表に関する提言をし、新しい「新算定表」を提示しています。この「新算定表」については、日弁連のホームページで確認できます。 >>「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」

 

「新算定表」の特徴を簡単に言いますと、現行「算定表」の問題点を改善した結果、養育費や婚姻費用の額が大きく上昇していることです。だいたい現行の「算定表」の1,5倍程度です。したがって、夫婦間の話し合いでは「新算定表」を基準に話し合うことも1つの方法かと思います。

 

しかし、実務すなわち裁判では、現行の「算定表」が強く根付いていますので、今後「新算定表」の考えがどこまで取り入れられるのか、個人的にも注視していきたいと思います。

 

養育費の額の変更

養育費の支払いは、一般に長期間に及びます。その間に、事情が大きく変わることもあります。

 

例えば、子供の進学の問題や支払い側の倒産・失業、受け取る側の失業、再婚、再婚相手との養子縁組などがそれにあたります。基本的には、離婚時に決めた養育費の額や支払い期間を変更することはできません。

 

しかし、上記のように経済的事情が大きく変化した場合には、養育費の増額や減額が認められることもあります。まずは、お互いに話し合い、合意が得られない場合には家庭裁判所に調停を申し出ることができます。

養育費の変更は、理由が正当である場合には、認められることも多いです。

 

養育費の履行の確保

養育費を取り決めしたとしても、実際に支払いがなくては意味がありません。

そこで、家庭裁判所の調停や審判で取り決めした場合には、以下のような履行確保の手段を利用できます。

1 家庭裁判所を利用した履行の確保

(1)履行勧告

履行勧告とは,義務者が審判等で定められた義務の履行を怠っている場合に、家庭裁判所が権利者の申出により、義務の履行状況を調査したうえで、その履行を勧告する制度です。養育費・婚姻費用の支払いだけでなく、財産分与や面会交流の拒絶の場合などにも幅広く利用できます。

申立は書面、口頭、電話でも行うことができます。費用もかかりません。この点が、履行勧告の良いところです。実際に申立をすると、家庭裁判所が、義務の不履行を調査したうえ、面談・電話・書面照会などの方法で義務を履行するよう勧告してくれます。家庭裁判所から義務者に直接連絡がくるため、義務者への心理的効果が期待できます。

したがって、まず履行勧告してみるという手法はよく利用されます。

 

(2)履行命令

履行命令とは、金銭の支払い、その他財産上の給付を目的とする義務を義務者が怠った場合に、家庭裁判所が、権利者からの申立により、相当の期限を定めてその義務を履行すべきことを命ずる審判です。しかし、金銭の支払い等に限定されますので、履行勧告と異なり、面会交流の拒絶等については使えません。

また、履行命令の申立には申立手数料として収入印紙500円と郵便切手の予納が必要です。

履行命令については、正当な理由なく命令に従わない場合には、10万以下の過料の制裁があります。

 

2 地方裁判所を利用した履行の確保

(1)強制執行(差押え等)

強制執行については、強制執行の欄もご覧下さい。 >>強制執行

相手の財産や勤務先を把握しているのであれば、地方裁判所に強制執行の申立をすることにより、養育費を回収することが可能です。

最もよく使われるのは、相手の給料の差し押えですので、簡単にご説明します。給与の差押えについては、必要書類を整え、地方裁判所に差し押さえの申立をします。差押えといっても所定の手続が必要で、地方裁判所に申立をする必要があるのです。

差押えが成功すると、勤務先の会社は、労働者に対して、給与の全額を直接支払うことができなくなります。つまり、差押えられた給与の一部は、労働者に支払わず、差押えをした人に支払わないといけなくなります。

 

差押えの対象となる部分は、通常は、原則として給与の4分の1までです。しかし、養育費や婚姻費用の場合は、給与の2分の1まで差押えが可能です。この点で、養育費や婚姻費用は特別に回収しやすくなっています。

また、現時点で支払われていない養育費に加えて、将来の養育費分についてもまとめて差し押さえの申し立てをすることができます。つまり、養育費の支払期限が到来するたびに、いちいち差押えの申立をする必要はなく、1回の強制執行手続で、将来にわたる継続的な養育費の強制執行が可能です。

この点は、かなり大きなメリットです。

他方で、給与の差押えを受けた側は、痛手です。結果的に長期間、勤務先にも迷惑がかかるでしょうから、債権者と話し合い誠実に義務を履行することを約束して、取り下げしてもらえるよう交渉するしかありません。このように給与の差押えは、最も確実で直接回収ができる手段です。

 

強制執行は、裁判所に申立をする必要があります。しかし、専門知識や必要書類の作成が必要なため、一人で行うのは困難です。この点も弁護士に相談することをお勧めします。

当事務所でも依頼者に代わり給料の差押え等を行い、長期の回収業務を継続している事例もございます。

債権回収の実績もありますので、弁護士までご相談下さい。

 
052-218-7360 受付 平日9:00~19:00(土日祝応相談) メールでの相談予約は24時間受付中!