離婚に向けて別居したが、相手が離婚に応じてくれない方へ
- 相手に離婚を切り出したが、拒否される。もう一緒に暮らすことはできないと思い別居もした。
それでも相手がやはり離婚には応じてくれない –
上記のようなケースについて解説いたします。
目次
婚姻費用の調停(収入が低い側)
同居・別居にかかわらず、夫婦には互いに生活費を分担する義務があります。
「婚姻費用」とは、この費用のことです。略して「婚費(こんぴ)」とも言われます。
具体的な金額については「互いの収入」「扶養している子どもの人数・年齢」等によって変わり、裁判官グループが作成した「算定表」(令和元年12月下旬に改正予定)が目安となります。
もし相手方が収入が多いにもかかわらず、婚姻費用を支払わない場合や、低い額しか支払わない場合は、早めに家庭裁判所に「婚姻費用分担請求の調停」を申立る必要があります。
なぜなら現在の家庭裁判所での運用は、未払いの婚姻費用があった場合、
「調停を申立てた時点からの未払分は請求できるが、申し立てるまでの間は、未払があっても請求できない」
という運用が多いからです。
特に、お子さん達を連れて別居している場合は、婚姻費用の未払は死活問題にもなりかねません。
相手方から婚姻費用が支払われないおそれがある場合は、別居後すぐに調停を申立てることができるよう、必要書類である戸籍謄本を早めに取得しておきましょう。
収入が多い側の方
収入が多い側の方の場合は、適正な婚姻費用を支払うようにしましょう。
過大な請求をされた場合に応じる必要はないですが、適正な婚姻費用を支払わないと、「生活費の未払をした」という事実が残り、今後の離婚協議で不利な材料となってしまいます。
注意点としては、過大な金額の婚姻費用を請求された場合に、安易に書面で合意したり、公正証書の作成に安易に応じたりしないことです。
一度、書面で合意してしまうとそれが基準とされる危険があり、その後に収入が下がった場合に、あなたから婚姻費用「減額」の調停を、家庭裁判所に申立しなければならなくなる可能性もあります。
離婚調停の申立て
あなたが「別居」という思い切った行動をした後でも、相手方が離婚に応じないとなると、任意の話し合いはもう難しい可能性が高いです。
このような場合は、家庭裁判所に離婚調停を申立てたほうがよいでしょう。
「裁判所での調停」と聞くと、ほとんどの方は未経験でしょうし、そこまで手続を取るハードルが高いと感じるかもしれません。
しかし、その感覚はおそらく相手も同じです。
調停まですることによって、「どうしても離婚したい」という強い決意を相手方に示すことができます。
また相手方にとっても、調停への出席は時間的にも精神的にも負担となり「早めにこの問題に決着をつけたい」という方向に気持ちが向かうこともあります。
さらに、調停では2名の「調停委員」という、完全な第三者が間に入って進行します。
これまであなたとの話し合いでは頑なであった相手方が、方向性を変えるきっかけにもなり得ます。
経験のある専門家への相談
たとえ頑張って別居までしても、
「絶対離婚したい」-「絶対離婚したくない」
この二人のすれ違いが最後まで続けば、ステージは「離婚訴訟・判決」にまで進んでいきます。
なお私個人としては決していたずらに離婚訴訟をすすめるわけではなく、むしろ調停や任意の合意でまとまるほうがよいと考えています。
ただし、任意の話合いや調停においても「もし判決になったらどんな結論になるか」「判決までにどれぐらい時間がかかるか」を想定することは、不可欠です。
そのため専門家を選ぶ際には、離婚案件の経験はもちろん、離婚訴訟で実際に判決にまで至った経験が重要となります。
この点当事務所は名古屋家庭裁判所をはじめ主に愛知県内の裁判所で、実際に判決までいった経験も複数あります。
必死に離婚に向けた行動をしても相手方が離婚に応じてくれなくて、今後の方向性に迷っておられる方は、一度、経験のある専門家の相談だけでもしてみると、見通しが広がると思います。
執筆者情報
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最も大事なこと、それは、お客様と信頼関係を構築すること。
弁護士にしか話せないこと、言えないこともあります。時間をかけても信頼関係を構築することが何より大切だと思っています。話しにくいこと、言いたくないことも出来るだけ話してもらえるよう、私はまずお客様の話す内容を時間をかけて細部までよく聴き、真意をつかみ取るように意識しています。お客様の話す内容については、単にご要望を伺うだけではなく、何故そのような心情に至ったのかを背景事情も踏まえて私なりに分析し、お客様の真意に見合った解決案を提示することを心がけています。
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