暴言・モラハラに加え、精神障害も懸念される相手方に対して、離婚と婚姻費用分担の調停を起こすことで、早期に離婚が成立した事例
目次
カテゴリ:モラルハラスメント, 女性, 婚姻費用, 財産分与, 離婚を切り出した, 養育費
属性
依頼者 30代 女性 専業主婦
相手方 40代 男性 会社員
子ども 2名
相談の経緯
夫の暴言や被害妄想に基づく虚言がひどいということで、離婚の相談にこられました。最近では、暴言・モラハラの相談は男女問わず、非常に多いように感じますが、本件の場合はそれに加えて、妄想という精神障害も懸念される事案でした。
ご相談時には夫と既に別居をされておりましたが、夫とは、まともな話し合いができない,怖いとのことで、当方で介入し、離婚調停の申立を行いました。なお、財産分与としては、住宅ローンの残った住宅と預金が中心でした。
当事務所の活動
受任後、直ちに、離婚調停と婚姻費用分担の調停を申立てし、その後調停に出席し、当方依頼者の主張等を書面で提出しました。
夫側にも代理人弁護士がつきましたが、双方が財産に関する資料を開示し比較的スムーズに理性的な話し合いがなされました。
結果
申立から調停期日の3回目(約4か月)で、調停が成立し、解決しました。夫側が離婚に応じてくれるか懸念がありましたが、早い段階で、離婚について合意ができ、財産分与や住宅ローンについての話し合いができました。
その結果、住宅については、夫が居住するとともに、ローンも払い続けること、解決金20万円を払うこと、子の親権者は妻、夫は毎月の養育費を払うこと、年金分割0.5で合意ができました。養育費については、双方のせめぎ合いがあり、最後は数千円単位までの細かい決め方になりましたが、納得のいく解決ができました。
ポイント、所感
夫に被害妄想癖や暴言があったため、任意での交渉は難しいと考え、受任後すぐに調停を申立しましたが、それが結果として早期の解決につながりました。
夫に身体障害・精神障害の疑いもあり、離婚できるかどうかの懸念もありました。精神障害だけでは、離婚理由にならないからです。そこで、「まずは離婚すること」を第1目標として、交渉にあたりました。この場合に例えば慰謝料などの離婚条件に拘りすぎると、せっかく相手が離婚に同意しても翻意する可能性もあるので、機を逃さないことが大切です。
また、双方に代理人がついて、財産分与でも速やかに財産を開示したため、早期解決につながりました。調停の長期化は、当事者双方が疲弊してきます。したがって、調停期日間の交渉も含め、早く済ませられるものはなるべく早く済ませ、早期に解決ができるよう努めています(なかなか難しい場合も当然ありますが)。
執筆者情報
-
最も大事なこと、それは、お客様と信頼関係を構築すること。
弁護士にしか話せないこと、言えないこともあります。時間をかけても信頼関係を構築することが何より大切だと思っています。話しにくいこと、言いたくないことも出来るだけ話してもらえるよう、私はまずお客様の話す内容を時間をかけて細部までよく聴き、真意をつかみ取るように意識しています。お客様の話す内容については、単にご要望を伺うだけではなく、何故そのような心情に至ったのかを背景事情も踏まえて私なりに分析し、お客様の真意に見合った解決案を提示することを心がけています。
|当事務所の弁護士紹介はこちら
最新の投稿
- 2022.10.06解決事例子どもを連れて家を出た妻から,調停で不相当に高額な婚姻費用,財産分与,慰謝料等を求められたが,適正な婚姻費用で調停を成立させるとともに,財産分与,慰謝料請求については完全に退けた例
- 2022.05.27解決事例夫からのモラハラにより別居となり、過去の調停にて取り決めた婚姻費用(生活費や養育費)も一部未払いにされていた妻が、それまで離婚を拒否し親権も渡さないと主張していた夫と調停離婚を成立させ、親権と養育費を獲得した例
- 2020.07.15解決事例夫の不倫により妻が離婚を決意。財産分与として住宅を妻が取得し、住宅ローンは夫が支払い続ける内容で合意し,協議離婚書を作成した例
- 2020.04.22解決事例軽度の精神疾患のある妻との離婚協議で、当初は離婚条件として高額の請求をされたが、弁護士が交渉を重ねて、互いに合意で離婚が成立できた例
関連記事はこちらをご覧ください。
- 子どもを連れて家を出た妻から,調停で不相当に高額な婚姻費用,財産分与,慰謝料等を求められたが,適正な婚姻費用で調停を成立させるとともに,財産分与,慰謝料請求については完全に退けた例
- 夫からのモラハラにより別居となり、過去の調停にて取り決めた婚姻費用(生活費や養育費)も一部未払いにされていた妻が、それまで離婚を拒否し親権も渡さないと主張していた夫と調停離婚を成立させ、親権と養育費を獲得した例
- 夫の不倫により妻が離婚を決意。財産分与として住宅を妻が取得し、住宅ローンは夫が支払い続ける内容で合意し,協議離婚書を作成した例
- 軽度の精神疾患のある妻との離婚協議で、当初は離婚条件として高額の請求をされたが、弁護士が交渉を重ねて、互いに合意で離婚が成立できた例
- 財産分与について,妻から「自宅購入時の妻の父からの援助を、全額返してほしい」と要求されたが,自宅における妻の「特有財産」分として処理し,適正な財産分与額で協議離婚が成立した例
- 妻の不倫相手を弁護士会照会によりナンバープレートから特定し、不貞の事実を認める書面に署名捺印、慰謝料180万円を獲得した例
- 夫のモラハラにより妻が子を連れて別居、代理人が夫との交渉を重ねて,協議での離婚が成立した例
- 夫の不貞相手女性が弁護士をつけたが、無事に慰謝料を獲得し、今後の夫との接触禁止,夫との連絡データの削除も合意した例
- 夫のモラハラ及びDVにより妻が子を連れて別居、妻が離婚調停を申立し,親権で争うも5か月で離婚成立,親権も獲得した例
- 夫のモラハラにより妻が離婚を決意し子を連れて別居、妻が離婚調停を提起して離婚成立・調停で養育費も合意した例