離婚前後の社会保障・法的扶助
目次
1 現金給付等
• 児童手当
0歳から中学校卒業までの児童を養育している全ての親を対象として、月額1万円~1万5千円が支給されます。ただし、一定の所得制限が設けられています。
• 児童扶養手当
①満18歳に到達して最初の3月31日までの間にある者等を養育している②ひとり親家庭(父母の離婚・死亡・障害などにより父母から監護を受けられない子どもを、監護する父・母または養育者)を対象として支給される制度です。
支給額は、受給者の所得額によって異なります。
• 特別児童扶養手当
①満20歳未満で、②精神又は身体に障害を有する児童を養育している親を対象として支給される制度です。受給には一定の所得制限があります。
• 障害児童福祉手当
①精神又は身体に重度の障害を有するため、②日常生活において常時の介護を必要とする状態にある③在宅の④20歳未満の者に支給されます。受給には一定の所得制限があります。
• 自治体による児童育成手当等
自治体によっては、独自でひとり親家庭を支援する助成金を設けていることもあります。例えば東京都では、ひとり親家庭向けに児童育成手当が設けられています。
• 税金の減免
離婚した際、扶養義務のある親族がいるなど一定の要件を満たせば、所得税や住民税
につき寡婦(寡夫)控除又は特別の寡婦控除を受けることができる場合があります。
• 生活保護
生活保護は、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行う制度です。
2 金銭の借入
• 生活福祉資金貸付
低所得世帯、高齢世帯、障害者世帯を対象として無利息又は低利息による貸付けを行う制度です。女性に限られず、一定の条件を満たす者であれば利用が可能です。
• 母子・父子・寡婦福祉資金貸付制度
20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子、寡婦等を対象として、無利子又は低利子により貸し付けを実施している場合があります。
3 生活の支援
• 交通機関の割引
交通機関によっては、ひとり親家庭を対象として、通勤定期乗車券の割引等を行っている場合があります。主なものとしては、児童扶養手当JR通勤定期乗車券割引制度、都営交通無料乗車券等があります。
• 就学援助
自治体によっては、ひとり親家庭を対象として、学校生活で必要なランドセル費用等の学用品などの費用を支援する制度を設けている場合があります。
• 医療費の軽減・助成制度
自治体によっては、ひとり親家庭を対象として、医療費の自己負担の軽減や助成金の給付を実施している場合があります。
• 水道料金の減免
各地の水道局によって、ひとり親家庭や生活保護を受けている世帯を対象として、水道料金下水道料金について、減額免除を行う減免制度が設けられています。
• 粗大ごみの処理手数料の減免
自治体によって、ひとり親家庭を対象として、粗大ごみ手数料を減額免除する減免制度が設けられている場合があります。
• 保育園保育料減免
保育園によって、ひとり親家庭の場合、保育料について減額免除する減免制度が設けられている場合があります。減免を受けるための所得制限等の要件は、保育園によって異なります。
• ホームヘルパー
自治体によって、①小学3年生以下の児童がいる②ひとり親家庭等を対象として、ホームヘルパーを派遣する制度が設けられている場合があります。所得によっては派遣料について自己負担分が生じる場合もあります。
• 母子家庭等自立支援サポートセンター事業
自治体によって、ひとり親家庭を対象として、子供の送迎や放課後の子供の預かり等様々な自立支援施策を実施しているサポートセンターを利用できる場合があります。
4 住居に関する支援
• 母子生活支援施設
①満18歳未満の子供を養育している②母子家庭の母子が、一時保護を目的として入所することができます。生活支援施設では、就労、家庭生活及び児童の教育に関する相談や助言等の支援も行われています。
• 公営住宅優先入居
ひとり親家庭の場合、公営住宅への入居の抽選時、優遇される場合があります。優遇の有無や内容は、自治体によって異なります。
5 就業支援
• 自立支援教育訓練給付金
自立支援教育訓練支給金は、母子家庭の母や父子家庭の父の経済的自立を図ることを目的として支給される給付金であり、対象教育訓練を受講・修了した場合に経費の60%が支給されます。
• 高等職業訓練促進給付金・高等職業訓練修了支援給付金
母子家庭の母や父子家庭の父が、看護師や介護福祉士等の資格取得のため、養成機関において1年以上のカリキュラムを修業する場合に、修業期間中の生活費や入学時の費用等について給付金が支給される場合があります。
執筆者情報

- 鈴木洋平
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