夫から暴言やモラハラ、DVに対して、子ども3人の親権と養育費、解決金の支払いが認められた離婚調停の事例
目次
カテゴリ:DV・暴力, モラルハラスメント, 女性, 婚姻費用
属性
依頼者 30代 女性 パート
相手方 40代 男性 公務員
子ども 3名
相談の経緯
夫の暴言やモラハラ(謝罪の強要など)、さらにはDVも受けたということで、離婚の相談にこられました。夫は公務員でしたが、DV加害者には、社会的立場のある人もいます。これは日頃業務で指導・指示を出す地位にあるために、家庭内でも高圧的になってしまうのかもしれません。
ご相談時には既に子ども達を連れて別居されていました。未成年の子ども3名を抱えており、緊急に生活費が必要であったことと、夫とは対等な話し合いが成立しないということで、当方で介入し、直ちに婚姻費用請求の調停を申立てました。
当事務所の活動
上記のように受任後すぐに婚姻費用分担の調停を申立て、また同時に夫に対して書面を作成して直接、生活費の早期支払いを要請しました。弁護士名で要請したところ、それまで支払われなかった生活費が入金されるようになりました。
その後、離婚調停も申立てました。夫側にも代理人弁護士がつき、夫は夫婦関係の修復を強く望んでいたため、調停での話し合いを重ねました。
結果
申立から調停期日の6回目(約8か月)で、調停が成立し、解決しました。夫側が強く離婚を拒否していたので、期間はかかりましたが、最後は妻の離婚意思が変わらないことを理解したようでした。
離婚条件でも意見の相違がありましたが、結果的には依頼者の希望に近い形で、夫が解決金を払う、子ども3人の親権者は妻、夫は3人分の毎月の養育費を払うこと、年金分割割合0.5で、合意ができました。
ポイント、所感
子どもが3人いたため、受任後すぐに婚姻費用分担調停を申立し、同時に夫にも直接書面で請求したことが、安定した生活費の支払いにつながりました。
夫にDVはありましたが、単発的なものであったこと、DV後もしばらく夫婦生活を続けていたことから、仮に裁判になった際に離婚できるかとの懸念もありました。また夫からは謝罪・反省を示す手紙も送付されていました。この点、調停が長期化しても依頼者の方がゆらぐことなく、離婚意思を固く貫き通したことが、離婚を拒否していた夫にも伝わったようでした。
また、双方に代理人がつき、互いに冷静な話し合いができたことも、解決につながりました。
DVやモラハラ加害者は、相手が本気で離婚に動き出すと、急にそれまでの態度を一変させて謝ってくることもあります。それで本当に改善されればいいのでしょうが、結局、同じ事の繰り返しになるケースが多いようです。
執筆者情報

- 鈴木洋平
-
最も大事なこと、それは、お客様と信頼関係を構築すること。
弁護士にしか話せないこと、言えないこともあります。時間をかけても信頼関係を構築することが何より大切だと思っています。話しにくいこと、言いたくないことも出来るだけ話してもらえるよう、私はまずお客様の話す内容を時間をかけて細部までよく聴き、真意をつかみ取るように意識しています。お客様の話す内容については、単にご要望を伺うだけではなく、何故そのような心情に至ったのかを背景事情も踏まえて私なりに分析し、お客様の真意に見合った解決案を提示することを心がけています。
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